宇宙戦艦ヤマト2202第6章回生篇は現代社会へのテーゼとしての姿を現した
2018年11月6日
おはようございます。玉川一郎です。平成30年11月6日の火曜日。寒々しい曇り空です。
先週末から公開されている『宇宙戦艦ヤマト2022愛の戦士たち 第6章回生篇』。第5章からおよそ半年待たされましたが、ようやく昨日観に行けました。
これは40年前に上映された劇場版『さらば宇宙戦艦ヤマト愛の戦士たち』と、そのTV放映版『宇宙戦艦ヤマト2』をリメイクしたものです。
最初の宇宙戦艦ヤマトをリメイクした『宇宙戦艦ヤマト2199』は、いわゆるアニメのお約束みたいなドラマを盛り上げるための矛盾がかなり解消されて、現代でも通用するアニメになっていました(終盤はかなり不満がありますが)。
『宇宙戦艦ヤマト2022愛の戦士たち』はそのリメイク続編で、ベストセラー作家の福井晴敏が脚本を手がけているのですが賛否両論がすごい。敵の白色彗星帝国ガトランティスの行動、地球防衛軍の軍拡、波動砲をなかなか打たないヤマトなどの新設定に、それはもうボロカスな言い様がネットにあふれています。
でも私はこの作品かなり好き。新しい設定には納得出来ないものもありましたが、カタルシスを感じられるシーンも多くて、毎回楽しみにしています。矛盾とか納得出来ないところも、なぜ福井晴敏はそのように書いているのかに興味があったりして。ひねくれてますかね?(苦笑)
というわけで今回の第6章はネットでの評判や、YouTubeで公開された冒頭10分間の映像など、前知識を一切入れないで観たかった。自分の目で見たものに素直な感想を持ちたかったからです。
そして昨日見た感想は・・・素晴らしい!今まで納得できなかったところが、それぞれしっかり意味を持っていた。どんどんつながってきて胸落ちしました。
敵であるガトランティスは戦うために作られた人造人間。それが知性が発達したがゆえに愛に苦しみ、愛を憎み、愛を持つ人間すべてを抹殺する存在になった。
それに立ち向かう地球防衛軍は、科学を発達させて高度なAIを開発し、それに判断させる。あまつさえ人間の命すら合理的に消費する。
両方に「人間としての当たり前とは」を問いかけて、あらがったのが宇宙戦艦ヤマトのクルーたち。
ようやくこの作品がなぜ40年前の古臭いキャッチフレーズ「愛の戦士たち」を再度使ったのかがわかりました。
人工知能、非人間における合理思考と、愛があるがゆえにエゴがあり、間違え、苦しむ人間との対比。つまりこれは現代の人工知能の問題に対するテーゼを投げかけているのであり、まさにベストセラー作家福井晴敏しか構築できない物語構造だと驚嘆しました。
本来の姿を現したこの物語が、次の最終章でどのような結末を迎えるのか。楽しみでたまりません。
でも、これを楽しめるのは、元のヤマトを知っていて、リメイクの2199を観ていて、さらに今回の2202の6章分を全部観ている人だけなんですよね。
安易なテレビのバラエティ番組とは違って、ちゃんとした作品を本当に楽しめるのは、事前知識と経験が必要なんです。
この作品を楽しめる自分が嬉しいです。
category: その他