ガンダムに学ぶビジネス 第38話『再会、シャアとセイラ』
2014年7月23日
おはようございます。ようやく関東地方も梅雨が明けました。今日はこれからマインドマップ・フル活用2日間講座の1日目を実施します。平日講座はめずらしいので、土日に休めない方など通常は参加できない方にお会いできるのが楽しみです。
今朝のネイティブ・ガンダムは第38話『再会、シャアとセイラ』。
ソロモン戦後、生き残ったジオン艦隊を連邦軍が追撃。混戦のさなか、テキサスコロニーで戦うアムロにシャアは刃が立たない。逃げ延びる途中でシャアはセイラと遭遇。二人は実の兄妹、お互いを愛しながら理解し合うことができず、再び離れ離れになる。双方の部隊は大きな被害を受け、ホワイトベースとシャアのザンジバルだけが勝ち残る。
「ニュータイプ」という概念が出てきたのはこの話が最初です。先日高校時代にガンダムをリアルタイムで見ていた友人に当時の話を聞きました。アニメ雑誌の解説を見て予習しないとよくわからないアニメだったそうです。
今回の話でシャアとセイラが話し合い、なぜ二人が別々の道を目指してきたのかが語られ、セイラは泣き崩れます。でもそんなに泣かれても感情移入できないですよ。状況がよく飲み込めないですから。
というわけで、人情もニュータイプもよくわからないまま、視聴者を置いてきぼりにして進んでいったのがこの話です。わからないから「わかりたい」という欲求が生まれ、結果的にその後のヒットに繋がっていますが、それは仕組んだものではないと思えます。
富野監督は今までのアニメの限界にいらついていた。自分が見てきた演劇、小説などの「上等」なメディアと、おもちゃのコマーシャルフィルムとしてのアニメ。自分ならアニメをもっと上質なものだと世間に示すことができる。そのような想いが、ガンダムという作品、タイミングを得て、吹き出してきた。それは仕組んだのではなく、仕込んできたものです。
今回の話で、ジオンのデラミン艦長とホワイトベースのブライト艦長のお互いを探ってタイミングを図る緊迫したシーンがあります。ワッケイン司令の攻撃で均衡が破れた時、ホワイトベースはミサイルと主砲の一斉攻撃を瞬時に行いますが、デラミン艦長はミサイル防御網が間に合わず、あっけなく撃沈します。
その姿にドラッカーが『産業人の未来』の中で語ったことを思い出しました。
すべての計画は無意味である。計画とは自分の都合に良いように考えた妄想でしかない。予測のつかない事態は必ず起こる。われわれができるのは準備だけ。予測できない事態に対応できるのは、予測できることに対するあらゆる準備をしたものだけである。
デラミン艦長はタイミングを図りながら、3倍の戦力を持っていることを過信し、ただ動かなかっただけ。ブライト艦長もタイミングを図りながら、動くときのための準備をしてきた。その違いが勝敗を分けたのです。
富野監督も、自分の作りたいアニメが作れなかった時ただ待っていただけではなかったのでしょう。きっと上質の演劇や小説をみながら、自分だったらアニメでこう描く、という準備をしまくっていたはず。その準備の蓄積がガンダムという奇跡のムーブメントを作ったのだと、私は思います。
<今日の学び>
タイミングを図ることは大切。 でもその間、遊んでいてはダメ。徹底的に準備しよう。
準備の蓄積がビジネスの次元を変えていく。