玉川一郎のブログ

ガンダムに学ぶビジネス 第18話「灼熱のアッザム・リーダー」

2014年7月1日

おはようございます。「早起きして1話ずつガンダムを見よう」頑張って続けています。昨日はたまたま乗った電車で20年来の友人と出会い、亀戸駅前のホルモン専科「ちゃん」で美味しいホルモンに舌鼓を打ちつつ痛飲しました。帰ったら服を着たまま寝ちゃいましたが、今朝はスクっと5時半に目が覚めました。

さて、今日は第18話「灼熱のアッザム・リーダー」。もし連続視聴のつもりでなかったら必ず飛ばしていた回です。意味のない巨大メカが出てくるし、マ・クベやキシリアは異星人の敵将軍としか思えないような異様さとデッサンの崩壊。まあ、長いシリーズではこんな回もしかたがないよね、と思ってしまう回です。

灼熱のアッザム・リーダー

しかし注意深く見てみると、この回は意外と見どころが多いのに気づきました。

脱走したアムロと再会するフラウ・ボウとのシーンで、緊張、恐怖、驚愕を二人のまばたきで表現している。「あれ、このアニメってしっかりまばたきしてたっけ?」と思ってそのまま見続けると、それ以外のシーンでは一切なし。まばたきしない人間ってリアリティがないですよね。これは、あえてあのシーンだけまばたきを入れて心理表現をしたのか、他のシーンではやりたくても手が回らなかったのか。真相はいつか富野さんや安彦さんに会った時に聞いてみたいと思いますが、結果的に非常に効果的でした。

アムロの勝手な行動を口々に咎め「敵前逃亡は銃殺」と言い合うホワイトベースのクルー。ハヤトとリュウ、カイが会話しながら作業しているのは拳銃の組み立て。これは映画「フルメタル・ジャケット」で新兵訓練の中で出てきた、拳銃を分解清掃組み立てを何度も繰り返す作業と同じです。つまりホワイトベースがすでに軍隊になっていることを示しているのです。

映画『フルメタル・ジャケット』より、ベトナム戦争に送り込む新兵を育成するシーン

映画『フルメタル・ジャケット』より、ベトナム戦争に送り込む新兵を育成するシーン

それからセリフ回し。冒頭のナレーションで、鉱物資源発掘が両軍にとって戦線を維持するための鍵であり、その攻防が大局。それに比べればガンダムの戦いは意味をなさず、「戦いはホワイトベースと関係なく進んでいった」と言い放つ。ガンダムの活躍で破壊された鉱山基地も102番めのものであって、たった1つを叩くためにビームライフルを乱射しておそらくエネルギーをほとんど使い切ったガンダムの戦いはただの消耗でしかなかった。これは繰り返し出てくる、戦略と戦術の違いの描写ですね。

基地が壊滅したあと生き残ったジオン兵に、アムロは水を飲ませ、救援を呼ぶための発煙筒を渡す。でも攻撃したのはアムロなんですよね。映画「地獄の黙示録」でベトナム人に問答無用の攻撃をしておきながら、生き残りを救助しようとするアメリカ兵、ひいてはアメリカ軍と同じ偽善を描いています。

映画『地獄の黙示録』より、ベトナムの村を空爆し、生き残りのベトナム人の救助を支持するキルゴア中佐

映画『地獄の黙示録』より、ベトナムの村を空爆し、生き残りのベトナム人の救助を指示するキルゴア中佐

アッザム・リーダーがガンダムに通用しなかった姿を見てキシリア・ザビが「噂以上の強さだ。今テスト中の新型モビルスーツの完成を急がねばなるまい」と語る。ここからどんどん出てくる怪獣風モビルスーツの伏線を張っているんです。敵を軍として描き、きっとザクの一種類で通したかった富野監督が、スポンサーの意向でやられメカをださなければならなくなったのですが、そのための一貫性を保つ発言になっています。

富野監督はインタビューの中で、アニメとは子どものためのものである。実写でやったら子どもに見てもらえないものをアニメにして見させている。一番コアなものを伝えられるのがアニメであり、コミックである。子どもにメカを見せながら戦争を見させ、コアなものを刷り込む。子どもにはプライドがあり、簡単にだますことができない。

子どもだましを真剣にやっているのが富野さんであり、おそらくジャンプのワンピースやナルト。そんなクリエイターの意地がそこかしこに見られる、非常に興味深い回でした。

 

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category: ガンダム

  • 玉村一郎のプロフィール
  • セミナー講師。マインドマップ(学習法)、フォトリーディング(読書法)、フューチャーマッピング(目標実現法)、ジーニアスコード(創造的問題解決法)、アクセラメンツ(加速教授技術)などを教えています。
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