ガンダムに学ぶビジネス 第23話『マチルダ救出作戦』
2014年7月7日
おはようございます。フォトリーディング・エグゼクティブ講座の2日目が昨日終了しました。教室の新しいレイアウトがそうさせるのか質問が出まくり、結局一日の中で2時間以上も質疑応答が展開しました。これまで他の集中講座を受けた人も「まるで違う講座を受けたかのよう」とびっくりしていました。ディスカッションの中で講座が展開するというのは、あたかも大学院の教室のような感じです。こんなにぜいたくな時間がすごせたのは、やはり三日間という余裕のある講座だったからでしょう。
さて、今朝のファースト・ガンダムは第23話『マチルダ救出作戦』。マ・クベ包囲網によって大破し、指揮官のブライトが病に倒れ、大ピンチのホワイトベース。補給部隊のマチルダ中尉が救出に向かいますが、連邦軍の内部からの密通によってジオン軍の襲撃を受ける。そこをガンダムのパワーアップメカで撃退するという話です。
今回は主役メカのパワーアップという、マジンガーZのジェットスクランダー登場から続くロボットアニメの王道の展開です。1体でも苦戦したグフが3機小隊を組み、なおかつドダイという空戦サポートメカに乗ってくることで、ガンダムが大苦戦する。
アムロ自体はコアファイターだけでもグフを倒せるほど成長しているのですが、敵との装備の違いはそれを補えないことをしっかりと描いた上で、新メカの力で撃破する。
販促として、大人の都合としての新メカ登場に際してしっかりとした説得力をもたせ、その中でガンダムの魅力である繊細な人物描写をはさんでいます。
これまで「ロボットアニメから脱却したい」という富野監督の心意気の凄さは感じてきましたが、『ククルス・ドアンの島』など空回りしてきた回も少なくありません。もともと富野監督は鉄腕アトムのころからロボットアニメの世界を歩み続けてきた人。いわばロボットアニメの定番は得意技であるはず。それを封印して意地を貼っていたこれまでから、今回はその得意技を活かしながら新しいテイストを加える形になっています。
特別にいい作画でもなく、メカがどかんどかんして戦い合う通常のロボットアニメのような回なのですが、終わってみると無性に次の話が見たくなるようなワクワク感があります。むしろすごいメンバーでやっているわけでないからこそ、誰かに頼ることなく個々人のベストの力が出ているような気がします。アニメは一人では作れない。作画が突出しても、脚本がすごくても、それだけでは作品が成立しない。おそらく前の話が安彦良和作画の割に出来が今ひとつであったことが、バランスの良い今回につながっているのでしょう。
私たちも仕事ではイノベーションを求め、改革をしたがります。しかしそれは現場の混乱を生み、力を入れれば入れるほど不協和音が出てきます。それぞれの得意分野を見直し、協力体制を作りながら、そこに少しのイノベーションを加えること。それがビジネスとしての継続性を築くのではないでしょうか。
この回以降最終回に至るまで、作画の乱れは決して少なくありませんが、作品として破綻している回はほとんどありません。作品の中ではキーパーソンのリュウ、そしてブライトの不在が新しいチームを生み出そうとしています。その制作の現場でも、富野監督、安彦良和の「脱力」によって、個人への依存から脱却し、調和のとれたチームが生まれてきたのです。