ガンダムに学ぶビジネス最終回 第43話『脱出』
2014年7月28日
おはようございます。昨日のたまいちブートキャンプでは徳永さんのNLP講座が大好評でした。これほど質の高い講座をうちの勉強会でできてとてもハッピーです。私のパート「たまいちなう」は、当然のことながらガンダム話(笑)。早起きチャレンジをきっかけに毎日1話ずつガンダムを見始め、フェイスブックに投稿し、「ガンダムに学ぶビジネス」というタイトルでブログに書き、自分の見せたい画面をアップするためにテレビ画面をデジカメで撮るようになり、マインドマップにまとめ始め、設定資料集を見ながらセントラルイメージを書くようになり、毎日3,4時間をこれにあてるように至った…というディープな話をご紹介しました。
さて、いよいよ今日は最終話『脱出』。
- シャアのジオングとアムロのガンダムは激闘のなかでそれぞれ戦闘不能に陥る。
- 要塞内に侵入したアムロはガンダムから出てノーマルスーツでシャアと銃、フェンシングで戦うがセイラが制止に入る。
- ホワイトベースは大破して要塞に着艦、ガンキャノン、ガンタンクもそれぞれ戦闘不能になり、クルーたちは白兵戦を繰り広げる。
- 敗色濃厚となってキシリアは兵を置き去りにしてザンジバルで脱出を図るが、それが許せないシャアが、再びキャスバルとしてキシリアを狙撃し殺す。
- 窮地に陥ったクルーたちをアムロのニュータイプ能力が導き、全員無事に脱出。
- アムロ自身もコアファイターで脱出して脱出艇へ。クルーのみんなが手を広げてアムロを迎える。
- 宇宙世紀0080年、地球連邦とジオン共和国(公国ではない)は、終戦協定を結ぶ。
1年弱に渡るガンダムの結末です。登場人物それぞれと全部の主役メカの終着点を示し、物語はきれいにまとまっていきます。キャロル・ピアソンの『英雄の旅』には、世界中の神話に共通する構造として、<旅の準備・旅立ち><旅の道のり・変容><旅からの帰還>の3幕構成がある。そしてそれぞれのプロセスでは人間が共通に持つ元型=アーキタイプのキャラクターが現れ、旅を進めていくと語られています。
それぞれのプロセスとアーキタイプをガンダムに当てはめてみましょう。
<旅の準備・旅立ち>
- 無垢 … ガンダムに乗る
- 孤児 … 一人で大気圏突入
- 戦士 … ガンダムで空中戦、ガルマ戦死
- 世話人 … イセリナの憎しみ、母との再会
<旅の道のり・変容>
- 探求者 … グフとの戦闘、ククルス・ドアンとの出会い、脱走
- 破壊者 … ランバ・ラルとの激闘、リュウ、マチルダとの死別
- 恋人 … 戦闘への没頭、ドム撃破、水爆破壊
- 創造者 … 水中戦、シャアを退ける、高速戦闘、最強の戦士へ
<旅からの帰還>
- 統治者 … ドレン隊・コンスコン隊瞬殺、ソロモン攻略
- 魔術師 … ニュータイプ覚醒、エルメス破壊
- 賢者 … ソーラ・レイ感知、真の敵を洞察
- 愚者 … ガンダム戦闘不能で生身になる、脱出
ガンダムは宇宙戦争を描いているのに地上の話が多くてアンバランスである、と言われることがあります。でもこのように見てみると、宇宙から旅立ち、地上で旅をし、宇宙に戻るという構造になっていますね。
旅の準備と旅からの帰還はそれぞれ本来いるべき場所で行われます。とすればアムロが本来いるべき場所は宇宙。それは人類の生きる世界の拡大、魂を解き放つ世界の象徴です。
では旅の道のりをたどる地上とは何なのか。それは過去のしがらみ、愛憎、理解し合えず戦い合うしかない世界。ガンダムの続編で、富野さんは戦うべき相手をオールドタイプ、「魂を重力に縛られた人々」という表現をしていますが、その象徴が地球です。
ガンダムは1年間の旅を通して、理解し合えず戦うしかない世界から、言葉にしなくてもお互いを深く理解し、感じ、愛し合える世界への変容。戦うためのモビルスーツを手にしたところから、最後はそれが要らなくなる人の革新、それを目指したヒーローズ・ジャーニーとなっています。
ヒーローズ・ジャーニーに則ったストーリーを観た時、私たちはそれぞれのアーキタイプのいずれかに自己を投影し、それが成功していく世界への道のりを疑似体験し、勇気づけられます。これがすぐれた物語が人の心の糧となる理由。そしてガンダムは極めて優れたヒーローズ・ジャーニーでした。
アムロは最後にコアファイターから降りて生身で仲間の元へ向かいます。そこは喜びを共有することができる還るべき場所。それは私たちの仕事仲間、会社仲間、スタッフの居る場所です。かけがえのない仲間を持っていることが生きている喜びであること、そんな仲間を得ることが生きることそのものであることが示されます。
シャアはアムロに同士になれといいます。真の敵がオールドタイプ、その象徴としてのザビ家である。同じ敵と戦うパートナーを彼に求めたのです。しかし目的が同じでも、アムロはシャアのやり方が許せない。感情的なわだかまりが捨てられない。続編でアムロとシャアは一度は一緒に戦うが、最後は再び戦い合うことになります。それは利害関係だけで結びついたパートナーシップの脆さです。パートナーとして大切なのは感情のわだかまりがあるかどうか。それをアムロは直感したのでしょう。
アムロは仲間の元へ還るとき、ララァに別れを告げます。「ララァとはまたいつでも会いにいけるから」。私にはララァは自分の顧客のように感じられました。とても愛する人。とても必要で、魂の叫びを語り合える存在。しかし共に生きていくわけではなく、生きていく過程で何度もまた出会う存在です。
この作品で富野監督はアニメーションディレクターの安彦良和さん、メカニックデザインの大河原邦男さんに出会います。彼らは一緒に生きていくかけがいのない仲間であり、感情的なわだかまりがなく同じものを目指すパートナーでした。その奇跡の出会いがガンダム35年の歴史を切り開いたのでしょう。
私も共感できる帰る場所としてのホワイトベースのクルー、仲良く同じものを目指せるパートナーとしてのシャア、魂が通じ合える顧客としてのララァに、仕事を通じて出会っていくことを願っています。
<今日の学び>
喜びを共有し還る場所としての仕事仲間を大切にしよう。
同じものを目指し共感できるパートナーを得よう。
そして魂が通じ合える顧客と出会おう。
これで「ガンダムに学ぶビジネス」連載ブログは終わりです。昨日のたまいちブートキャンプでこの連載を本にして出版したいと夢を語ったら「ぜひ読みたい」という声が殺到。それでは『ガンダム全43話に学ぶ43のビジネス法則〜全話分析マインドマップつき』なんて題名でいかがでしょう。出版社の編集の皆様?
※今朝は画像をキャプチャーする時間がなくなっちゃいました。あとで再度画像を入れたいと思います。よかったらまた明日もこの投稿をのぞいてくださいね。
※2014.7/29追記 画像を追加、一部文章を訂正しました。
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