イデオンに学ぶコミュニケーション 第18話『アジアンの裏切り』
2014年8月26日
おはようございます。
ここ10日間くらいで7日間もまる1日の講座、セミナーをやってきました。
さすがに少しのんびりしたほうがいいかと思い今日は早起きもお休み。
BSのNHKテレビ小説の時間にようやく起きてゆっくりした午前中を過ごしています。
というわけで今朝の遅起き(苦笑)アニメ視聴は伝説巨神イデオン第18話『アジアンの裏切り』。
イデオン全話の中でもベスト5に入る大好きな回です。
- ルゥのはしかのワクチンを求めて地球人の移民星アジアンを訪れるソロシップ。
- ギジェは数十発で惑星を全滅させる準光速ミサイルの使用をハルルに提案。 アジアン星に第一波を打ち込み、イデオンの引き渡しを要求する。
- アジアン軍はイデの存在を確認し、バッフクランを攻撃すると同時にソロシップを占拠する。
- 第二波を食い止めることが出来なかった時、イデオンの謎の兵器が目覚め、準光速ミサイルを消滅させる。
準光速ミサイルとは光速に近い速さで発射される大型ミサイルのことで
その速度はミサイルの質量を劇的に増大させ破壊力を数千倍に高めたというもの。
きわめてSFマインドを刺激する設定ですが
あきらかに核ミサイルを比喩表現しています。
ギジェ「準光速ミサイルを使います」
ハルル「敵に使われる危険を承知しているのか?」
ギジェ「目の前の星を全滅させれば済むことです」
ギジェは第一波でその威力を示した上で
「交渉」という名の脅迫でイデオンの引き渡しを要求する。
まさにアメリカが第二次世界大戦後に世界に対して 繰り広げていた政治交渉そのものです。
そしてアジアン星もまたアメリカ合衆国の比喩になっています。
移民が始まって50年たち、独自の文化が発達。
短期間で理想的な文明を作り上げた自負心と他の移民星に対する差別意識。
母星の支配から抜けて自由を得たいという独立心と「力」への強い信奉。
だからイデを知った時それをソロ星の人々から奪おうとしたのです。
お互いが戦いを選択した時 巻き込まれる兵士と市民の姿をことさらに残酷に描く。
それは理念が現実を破壊することを表現したいのでしょう。
イデオンは核ミサイルをはるかに超える準光速ミサイルを消滅させます。
もし核兵器を無効化する兵器を持つ国があったら
核兵器保有国はそれを奪うか、その国を滅ぼすか、
どちらかを選択するだろうことは想像できます。
バッフクランがイデオンを見逃すことができなくなった
決定的な出来事が、今回の話だったのです。
ソロシップの人々も巨大な力を得たことでとまどう。
カララ「あれは災いの力に思えてなりません」
コスモ「でも俺達には必要な力だ」
「シェリルさん、第六文明人の言葉を早く分析してください」
この力はコントロールできれば役に立つと思っている。
それは原子力をエネルギーとして活用しようとした私たちのこと?
イデオンは人々の心の世界を描いているだけでなく
人の文明の有り様、国家のあり方とその矛盾をも描こうとしている。
そして巨大なエネルギーの意味をも。
こんなことは高校時代に初見したときには気づきませんでした。
そして気づかないようにするからこそテーマが子どもたちに伝わる。
「それがアニメというメディアだ」という確信犯なのが富野監督なのです。
<今日の学び>
本当に重要な事を伝えたかったら
相手の聴きやすいような表現を選ぼう。
『伝説巨神イデオン』(c)東急エージェンシー・サンライズ