玉川一郎のブログ

イデオンに学ぶコミュニケーション 第23話『戦慄・囮の星』

2014年9月1日

おはようございます。今日から9月ですね。

先月に比べると少し講座が少ないので、その分サイトの更新やメルマガの設定などやりたかった作業を進めたいと思います。

フューチャーマッピング、人生の春夏秋冬などの新しい講座のトライアル、リリースもしっかり進めてまいります。

どうぞお楽しみに。

 

今朝の早朝アニメ視聴は伝説巨神イデオン第23話『戦慄・囮の星』。

新ドキュメント_23

第22話は総集編だったのでレポートはパス。

この話から後半戦、そしてイデオンの魅力が前に出てきます。

 

  • バッフクランのダラム・ズバはソロシップをおびき出すために植民星キャラルを準光速ミサイルで攻撃。

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  • ソロシップが到着するとキャラルの半分が壊滅状態になっていた。

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  • コスモが偵察している途中で生き残りのキッチ・キッチンと孤児たちを発見。キッチンたちはコスモを敵だと思って銃撃をしてくる。

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  • ダラム・ズバとギジェ・ザラルの新型重機動メカ、ガンガ・ルブがイデオンを追い詰めるが、コスモたちはこれを退ける。

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  • ダラムは脱出の途中でイデオンに核爆弾を仕掛ける。核爆発にもイデオンは耐えた。

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  • キャラル星はソロシップのせいで攻撃を受けたと敵視。キッチンもコスモたちのせいだと恨む。

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今回の話は、バッフクランの攻撃の被害者として宇宙を逃亡していたソロシップの人々が、

他の星から加害者とみなされる話です。

 

戦いでは被害者が加害者に変わる。

本人たちは自分の身を守ることだけを考えているのに、

相手から見れば敵であり加害者であり、そして悪でしかない。

 

カーシャ「本当に無限の力があるのなら、私たち攻勢に出る事だって出来るのよ」

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ベス「それで、バッフ・クランを全滅させるのか?」

カーシャ「出来ることならね!!」

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コスモ「そして、デクやルウから英雄といわれる」

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カーシャ「それがいけないとでもいうの!」

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この話の富野メモではもっとリアルに書かれています。

カーシャ「本当にパワーがあるのなら、私たちは、それを使ってバッフ・クランを滅ぼすことだって出来るはずよ」

コスモ「そして、バッフ・クラン人から悪魔と言われるわけだな。我々は

カーシャ「私は生き延びたいだけよ!」

コスモ「生き延びるためには、悪魔になってもいいぜ。そしてデクやルゥたちからはきっと英雄と言われる」

 

自分たちは被害者である。

生き延びるためには加害者を殲滅するしかない。

そして加害者を殲滅したら英雄になる。

 

カーシャの論理は、第二次世界大戦を始めた時の日本と同じ。

今なお日本の極右勢力は同じ主張をするでしょう。

 

尖閣を守るために、内政干渉をはねのけるために、力を使おう。

それを使って生き延びよう。

攻撃したいのではなく、生き延びたいだけなのだ、と。

 

そしてそれはおそらく日本だけの問題ではありません。

中国や韓国で反日運動の中で使われている論理であり、

ロシア、アメリカなどの武力行使の「言い訳」でもあります。

 

つまり現代における戦争のロジックは、

少なくとも対外的な言い訳は同じものが使われています。

 

その論理がいかに不毛なものであるか。

最後は映画『ウォーゲーム』で人工知能コンピューター・ジョシュアが結論づけたように、

すべては破局へ向かい勝者なしとなる。

 

イデオンは、最終的に両方の星の人々が全滅になる結末を示し、

それをTVアニメで子どもたちに見せつけたのです。

 

しかしイデオンはただの絶望話ではありません。

どこで引き返すことができたのか。

なにをすればよかったのか。

その試行錯誤と問いかけが、ハードなSF設定、スピーディーな作画と演出、濃厚なシナリオで

39話+劇場版で綴られていくのです。

 

さらに、これは戦争だけの問題ではありません。

 

私たちのコミュニケーション、人間関係もまたこのような呪縛がある。

激しい言葉を他人に浴びせるとき、敵対的な行動を他人に対して行うとき、

私たちは悪魔になろうとしているわけではなく、加害者という意識があるわけでもない。

 

テレビのワイドショーや新聞の三面記事では

犯罪者を悪の権化、犯罪を犯すべく犯す、

ステレオタイプな加害者というレッテルを貼っています。

 

なぜ彼らが犯罪者になったのか。他人を傷つけるに至ったのか。

傷つける側の視点で描いたのが、

東野圭吾の『さまよう刃』 『手紙』

宮部みゆきの『火車』です。

 

しかし小説を子どもは(大人の多くも?)読まない。

富野監督はアニメという媒体の可能性を、そのような世の中の真実、目を背けたくなるような現実に、

子どもたちに知らず知らずのうちに直面させ、考えさせることだと語っています。

 

キッチン「あんたたちのおかげでバッフ・クランて異星人、せめてきたんじゃない?」

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コスモ「そんな…そんなことはないよ」

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キッチン「だけどね、肉親を殺された人たちは、みんな、あんたたちのことを敵だと思っている。しょうがないでしょ!」

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コスモ「ソロシップのみんなも肉親を殺されているんだぞ!」

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「殺し合いが好きな奴が…いるもんかっ!」

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キッチン「そうだね…」

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そうしてキッチンはコスモ、つまり「被害者」は「加害者」と同じ視点に立つ。

そこからしか何も始まらない。

 

私は高校2年の時にイデオンをリアルタイムで見て、

おそらく知らず知らずのうちにそのような「現実」を知らされたように感じます。

そしてそんな視点を持っていることが、今の自分の思考に大きな影響を与えているのです。

 

<今日の学び>

私たちは自分を守るために他人を傷つける。

他人も自分を守るために私を傷つける。

どこで終わりにするか?

 

『伝説巨神イデオン』(c)東急エージェンシー・サンライズ


  • 玉村一郎のプロフィール
  • セミナー講師。マインドマップ(学習法)、フォトリーディング(読書法)、フューチャーマッピング(目標実現法)、ジーニアスコード(創造的問題解決法)、アクセラメンツ(加速教授技術)などを教えています。
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